ポータルを開く-パート3 愛を見つける
2015年3月17日
OPENING THE PORTAL -- Part 3 Finding Love
翻訳:Mott さん
パート3
愛を見つける
その美しい女性の眼は甘く澄んでいて、その眼はまっすぐに私の心を覗きこみました。彼女の凝視に抵抗する術(すべ)もなく、私はもう一度スタンドを開きました。要りようのものを買った彼女は踵(きびす)を返して立ち去ろうとしました。
「待って」、私は彼女に声をかけました。「まだ行かないでください。戸締りをさせてください。そして、あなたを家まで送らせてください。暗くなりかけているし、貴女のようにきれいな女性が一人で歩くのは危険です」
「あなたと一緒だったら安全だなんて、どうして分かるの?」、深い色をした茶色の眼をキラキラさせながら彼女は尋ねました。
「なぜって、私は王族出身だから。もちろん、私と一緒にいたら安全ですよ」
私は自分が言った言葉にショックを受け恥ずかしくなりました。心の中で長いこと忘れていた記憶がうごめきだしたのでした。それは別の子どもの顔でした。ええ、私たちが束縛から解き放ってやった、姉妹の顔だったのです。私は自分の前に立つその女性を見ました。
三次元世界の探検を無事切り抜けることができていたとして、私の姉妹は彼女のような顔つきをしていたものでしょうか? その時、私の心にまるで稲妻が落ちたかのように、私は思い出したのでした。すべてを思い出したわけではありませんでしたが、霧が引き始め、私は心の端っこにほうっておかれたままになっている清らかなビジョンを見ました。
私はその女性を見上げました。どのぐらいそんな回想に耽ったまま凝視していたものでしょうか? 彼女は心配そうな表情を浮かべましたが、私が言ったことに水を差すような言葉は発しませんでした。
「では君主様、私を家まで送ってください」 私のことをほぼ信じているかのように、彼女は暖かく微笑みました。
私たちが街の端にある彼女の家まで歩いていく間、彼女は明るい調子で自分の暮らしぶりを語りました。彼女の家族はこの街にやってきたばかりでした。とても貧しかったので、ましな暮らしを求めてこなければならなかったのです。彼女の父母と弟妹たちは、消息が分からないでいた友がもどってきたみたいに私を迎えてくれました。
それから、私たちは名前の交換さえしていなかったことに気付きました。歩き出した瞬間からとても気分がよかったので、名乗りあうことさえ不必要に思えたのでした。彼女の名前はルネクサといいました。私が彼女を愛し始めたのは、その最初の日からだったと思います。
ルネクサが私のところに昼の食事を運んで一緒に食べるようになったので、買い物を一日の終わりにするようにした彼女を送って、私は歩いて家まで送っていくようになりました。もしブースの中に何か残り物があったら、私はそれを彼女の家族のところに持っていきました。私の母は、初めてルネクサに会ったとき、彼女を優しく抱きしめました。この女性が私を救ってくれる人だと分かったのです。
記憶が戻り始めたので、私はルネクサに、不思議だと思われていた人物は本当は私自身だったということを継続的に語りました。その話を気に入って、彼女は毎日のようにもっと語ってくれとせがみました。私はあらゆること、もちろんマヤの教義を除いてですが、彼女に話しました。彼女と愛の契りを結ぶようになったのはそれからまもなくのことでした。
それはホープナカニアとの交わりとはとても違ったものでした。ルネクサとの関係は、甘く愛にあふれ、地に根をおろすような感覚がありました。毎回私たちはオーガズムに達し、共に地中深くに降りていくのでした。私たちは地下深くまで根をはりめぐらしている二本の木のようでした。私は彼女が妊娠しないですむような薬草を探そうとしましたが、彼女は私の子が欲しいと言いました。
「でも僕は君を妻に迎えることはできないのだ。じきに去らないといけないので」
「私たちはまた会えるわ」彼女は決まってそう答えました。
その街での私の役目は終わりに近づいていました。私は去りかねている自分を知って驚きました。静かで素朴なやりかたで私はルネクサを愛するようになっていたのです。自分の一部のように感じていたホープナカニアとの関係と違って、ルネクサに対する私の愛は、木がその根を愛するようでもあり、植物が花を愛するのとも似ていました。そんな私がどうやって彼女の元を去れましょう?
彼女が私の命を救ってくれたのです! 彼女を見捨てるなんて私にできるでしょうか? でも目的を断念することはできるのか? 私は自分の目的がどんなものか分からなくなりました。三次元の生活を愛でることを教えてくれたのはルネクサでした。今それを、私は永遠にあきらめなければならないのです。彼女を置いて去らねばならないのです!
私はドンドン気が散るようになっていきました。私たちの交わりは命がけといえるほど情熱を帯びたものとなり、やがてあるとき、私たちは地下深くに潜行していくのではなく、ホープナカニアと交わったときのように、高次元に昇っていきました。私は翼を持った天使となった彼女に気づき、彼女は別世界から来た神を私に見ました。私たちがやがて地球に戻ってきたとき、彼女は深淵な面(おも)をたたえて私の眼をのぞきこみました。
「もう立ち去る時ですよ。また会いましょう。行ってちょうだい、愛しい人よ、私にまだあなたを見送る気力があるうちに」
「残ろうとする私を、彼女はそうさせまいとしました。彼女は文字通り私を押して離れさせるのでした。私は泣いている自分に気がつきました。彼女も泣いていました。
「国に戻って!」彼女は叫びました。「私に同じことを言わせないで」
それから私の愛するルネクサは、踵を返し、走って私の元を去りました。私の身体のどの筋肉も彼女を追いたいと願いました。しかし、いつもそうだったように、彼女は正しかったのです。1週間も前に私がいるべき6か月は終わっていたのです。のろのろとした足取りで家に戻った私は、養母にサヨナラのキスをしました。私には大事に取っておいた形見の品がありました。
「半分はルネクサにあげて、残りの半分は貴女が持っていてください。これまで私を見守ってくれたように、どうか彼女を見守ってください。私は行かないといけません」
いつものように、母は何も聞きませんでした。彼女は理解していたのです。私は踵を返し、大好きになっていった小さな小屋に母を残して立ち去りました。
「私は三日三晩待ちましたが、それでも弟妹たちとは落ち合えませんでした。たぶん私がそうだったように彼らも忘れてしまったのです。彼らは私のように、世話をしてくれたり、よすがとなるような人に出会う幸運に出くわさなかったのです。もしかしたら死んでしまったのかもしれません。
私は心の中で、子供時代にしたように彼らを捜しました。子供のころ私たちは、かくれんぼうのようなものをして遊んだものですが、私たちの場合は心の中で鬼を捜すのでした。自分たちの心の中でだけお互いを見つけてもいいというのがルールでした。隠れ場所に行くチャンスが1回でも、私たちはとてもうまく隠れとおせたのです。
どんなに遠く離れていても、私たちは毎回お互いを発見しコンタクトをとることができました。この遊びを始めたのは、私たちの姉妹が解き放たれた後のことです。彼女はなんて勇敢な子だったか。私に記憶させていたのは彼女のビジョンでした。私はしょっちゅう、ルネクサは彼女の輪廻転生した姿なのではないかと考えたりしました。もしそうだったら、たぶん彼女も他の子たちを見つけて彼らを助けてやることだってできるはずでした。
別の一日が過ぎても、まだ彼らの兆候はありませんでした。たぶん彼らは既にそこにきて立ち去ってしまったのかもしれません。私の来るのが遅かったのです。でも、もし彼らを連れずに私が神殿に行ったとしても、彼らはひょっとしてここで待っていてくれるかもしれません。私は決断できずに氷のようになっていました。私はアルクトゥルス人の父に呼びかけて彼の助言を求めようと思いました。
これまではいつだって、私が心の中でちょっと呼びかけるだけで、彼は目の前に現れるか想念の中に姿を見せてくれました。しかし、今回は違ったのです。何度も何度も彼に呼びかけたのに、なんの反応もありませんでした。どうしてしまったのでしょう? 私が波動をあまりにも下げてしまったので家族と連絡が取れなくなってしまったのでしょうか? 私はどうやって彼らに呼びかけたらいいのか忘れてしまったのでしょうか?
おそらくそれで弟妹たちを見つけられなくなったのです。絶望と恐れが私のなかで上昇し始めようとしていたのです。自分の感情の思うままにさせたらもう二度と父にコンタクトを取れなくなることが私には分かっていました。何度も何度も試しましたが、返答はありません。とうとう私は、父を探しにアルクトゥルス星まで旅しなければならないと決心しました。
心の中で故国へ行くようにするには、7番目のオクターブのなかに波動を上げてやるため、長いあいだ瞑想しなければならないことを私は分かっていました。私はそれまで1人でアルクトゥルス星に行ったことはありませんでした。いつも父と一緒に行くか、あるいはホープナカニアと性的交わりを持っている間に行ったりしていたのです。他の人たちの助けなしで、私はそんなに高く波動を上げることができるでしょうか?
疑念と恐れをつくりだすだけなので、私はそんな迷いをじっくりと吟味しないことにしました。大きな木の湾曲した部分に、私たちがジャングルで生活していたころしょっちゅう使っていたようなお気に入りの瞑想場所を見つけました。この場所ならば、以前にもいつもそうだったように、平和で冷静な気持ちになれるのではと期待したのですが、そうはなりませんでした。理性が閉ざされ、心は空っぽでした。何か月も瞑想していなかったので、やり方を忘れてしまっていたのでした。
ネガティブさ、怒り、恐れが、あの高い部分にいた私を締め出したのです。波動を上げようと何度も試みましたが、うまくいきませんでした。両眼がパッと開きました。それまでずっと安全に私を護ってくれていた周囲の世界は、うっそうと茂る脅迫的な密林になっていました。
憤怒に駆られて大きな石をつかむと、私は目の前の地面をたたき始めました。穴ができました。私はもっともっと、前よりも激しくガンガン叩きつづけました。穴はますます大きくなっていきましたが、ついに、疲れ果てた私は木に背中を横たえました。そして両眼を閉じました。
すると私はあの同じ穴を見たのです。ただ、それは私の心の中にありました。穴はその中に入ってくるよう私に呼びかけました。暗くて不吉な感じの声でしたが、それは私の意識から去ろうとしません。私は自分自身の深淵に降りていく必要があったのです。穴の中に入り、曲がりくねった経路に沿って、自分の心のなかの苦悩に満ちた核深くまで下っていかなければならなかったのです。
三次元世界に関わる人生のたくさんのイメージと感情が、私の前で、そして私の中でぐるぐると旋回し、私の旅を邪魔しました。もしこうした気を散らすものに注意を向けたら、それらの汚辱に足を掬(すく)われてしまうことを私は覚えていました。その穴は私の精神に深い、深い傷を穿(うが)ちました。本当のことを言うと、私の肉体をも損(そこ)ねたのでした。
私は自分の肉体の細胞組織のなかに旅していることを認識し始めました。より深く旅していくと、あらゆるものが小さくなっていきました。私はもはや三次元的存在ではなくなり、二次元的なものになり、それから一次元の小さなしみになりました。
「そしてそれからすべてが停止し、私は自分自身の壁に直面しました。その壁を突き破る必要がありました。それに停止させられることなんてできません。自分はそれよりもっと、より大きい存在なのだということを私は知っていました。自分の信念を梃(てこ)にしてその壁を押し抜けると、私は遠く離れた外宇宙に出てきたことが分かりました。自分のまわりに星々が見えたのです。
「私は光だ!」 高揚して私は叫びました。「私は光だ、そして私はONEにつながる者だ!」
私は再びその長い穴の中に戻っていき、自分自身のあらゆる細胞や原子にそのメッセージを流布してまわりました。
「私は光だ! 私はONEにつながる者だ!」
私はそのメッセージを自身の肉体のあらゆる部分にしみこませました。分離などというものは全くないのです。私たちはすべて、「ONEにつながる」者なのです。壮大なものも卑小なものも関係ありません。暗黒などというものは錯覚です。苦痛も錯覚です。孤独も錯覚です。分離は錯覚なのです!
私は自身の呼吸に意識を集中しました。すると私の精神はこの上もなく、すべての生命に対する無条件の愛と統一に満ちていました。この拡がった自覚をゆっくりと自分の頭まで上げてやり、光の束を送って脊柱に下ろし、そして地球に在る自分自身へとアンカーさせました。私の存在が放っているエネルギーが増すのに合わせて、周囲の木も反響するのが感じられました。私は太古から守ってくれている木に感謝しました。それをどんなに必要としていたか私はちょっとでも知っていたでしょうか?
はじめ、この瞑想は私が人生をとおして経験してきた多くの瞑想と大いに似ていました。外面的な世界は消えてなくなり、人生にまつわる錯覚はすべて、街への旅ですらも、私から消え始めました。しかし、そのとき突然、私はそれまで経験したなかでも最も恐ろしい暗黒の場所に自分がいることに気がつきました。
私が認識できた唯一のことは、初めて市場へ向かった途中で目撃した殺人でした。腹をたてた、貧しい幽霊たちと幽界の霊たちが、私を引っ張って、彼らのねぐらへと誘いました。太陽の影響を受けやすい私の網状組織は焼けつくように熱く、私は縋(すが)ろうとして、伸ばした手で木をつかみました。ですが、敵は肉体を持っていません。私の敵は、三次元世界の霊たちの監獄である、低アストラル・プレーンにいる連中でした。
こんなことは未だかつて経験したこともありませんでした。それまでずっと、私は物質世界の否定的な側面から常に守られてきました。ゆえに、経験不足もあって、内面世界のこの空間は通り過ぎてしまっていたのです。このような世界が存在する可能性を認識させてくれそうな経験さえ、私は人生でしたことがなかったのでした。
今、私はそのような体験をしていたのでした。そしてそれらは皆、私が過去に経験し観察もしてきたあらゆる否定的な思考と不愉快な感情を伴って、さっと私の心のなかを通り過ぎていきました。私は気分が悪くなり、このひどい場所から出て来たいと思いました。しかしながら、自分の恐れる気持ちが追い込まれて、高次元から永久に締め出されてしまうようなことをさせてはならないと分かっていました。
彼らが私たちに街に住んで欲しかったのは、こういう経験をしてもらいたかったからに違いありません。ミッションを履行するために、私たちは自分たちの一番暗い部分を経験しなければならないのです。でも、私は自分のミッションが何なのかさえ分かっていませんでした。それでも、ミッションのことを考えて勇気が湧いてきた私は、暗黒との闘いに踏み出しました。
しかし暗黒と闘っている間、それが無限にあることに気がつきました。というのは、その一部でも征服すると、その代替物がもっと現れてきたからです。闘いに負けた私は、自分の真髄が徐々に抜き取られていく感じがしました。暗黒が私の光を盗んでいたのです。
でも待て! 私は以前になぜこの暗黒を体験してこなかったのか自分自身に気づかせねばなりませんでした。そうなのです、それは私が自分の人生にも暗黒が存在することを知らなかったからなのです。この暗黒は、私自身の内部にある暗黒をとおしてのみ、私を攻撃できたのです。
私はなぜ、以前にこの暗黒を体験してこなかったのか自分自身に気づかせねばなりませんでした。
そうなのです、それは私が自分の人生にも暗黒が存在することを知らなかったからなのです。
この暗黒は、私自身の内部にある暗黒をとおしてのみ、私を攻撃できたのです。
祝福を
あなたのイニシエーションはどんなふうに進んでいますか? 私の場合は、驚くほど素敵にいっていたかと思うと、突然その反対になり、もっと素早く(意図が)明確になります。でも今でも私は疲労に陥り、続いて劇的な状況がやってきます。
どうぞシェアしてください :-)
翻訳: Mott